表計算〜計算の仕方
パソコンの使い方から始めて電子メール,WWW,ワープロときて,いよいよ表計算です.この4つのアプリケーションソフトがそこそこ使いこなせれば,「パソコンやってます」と周りに宣言しても大丈夫だと考えます.表計算は学生のうちはあまり馴染みがないと思いますが,社会に出たらこんなに便利なものはない,と思うことでしょう.
1.表計算ソフトとは何か
Excelを起動すると,方眼紙のようなワークシートが表示されます.この表の桝目(セル)と呼びます.セルは行の数字と列のアルファベットによって位置が表されています.例えば,図のアクティブセルは,「B2のセル」と呼びます.
表計算ソフトとは,このセルにデータを記録し,各種処理を行うソフトです.
2.起動
の順にボタンをクリックすると,表計算(エクセル)が起動します.
- 「スタート」
- 「プログラム」
- 「Microsoft Office」
- 「Microsoft Excel」
3.データの入力・削除・編集
文字,数値,及び式は「アクティブセル」にのみ入力可能です.
能書きよりも,実際に使った方が理解は早い,ということで,架空の販売データを使って表計算ソフトを使いこなしてみよう.
- 基本的に上書きです.
- 「F2」キーを押すと編集モードになります.
- 「入力・編集領域」をクリックしても編集モードになります.
- セル内容を削除するときは,「Delete」キーを押します.
C14〜G14の行は0が1つ足りません.修正しましょう.
4.セルの移動・選択
表計算はマウスよりもキーボード操作の方が早く作業ができます.キーボードからの操作によってセルを移動する方法もぜひ覚えて下さい.
- 上下左右の「矢印キー」でセル1つ移動します.
- 「End」キーを押してから矢印キーを押すと,その方向にある連続する入力済みセルの端点まで移動します.これは非常に大きな範囲指定を行う際には大変便利です.
- 「Home」キーを押すとその行の左端に移動します.
- 「Ctrl」キーを押しながら「Home」キーを押すと「A1」のセルに移動します.
- 「Shift」キーを押しながら矢印キーを押すと範囲選択になります(ドラッグと同じ).
- 「Ctrl」キーを押しながらマウスでクリックすると,連続していないセルの選択ができます.
5.計算する(式の入力)
計算のルール
例えば,
- 計算をするとき,式を入力するときにはかならず「=」で始めます.
- 入力は半角の英数を用います.
- 四則演算の記号は「+」「-」「*」「/」を用います.
- 「かっこ」で計算の優先順位を指定します.
- 「=10+12+15+12」のように,数字を使うことができます.
- 「=A1+A2+A3+A4」のように,数字が入っている「セル番地」を使うことができます.
において,「A5」にA1からA4の合計を計算する方法は2通りあります.
- A5のセルに=10+12+15+12と入力します.「Enter」キーを押すと計算結果がでます.
- A5のセルに=A1+A2+A3+A4と入力します.「Enter」キーを押すと計算結果がでます.
表計算では,後述する式のコピー&貼り付けのために,セル番地を入力する方法がメインです.
※おまけ,べき乗(2乗,3乗)は,「^2」,「^3」と表記します.
6.計算式のコピー・貼り付け(相対参照)
例として,「B5」にもB1からB4の合計値を計算するとします.いちいち式を入力するのは面倒です.同様の処理を行っていたA5のセルをコピーすると,きちんとB1からB4までの合計が計算できます.
このように,表計算では,セルの中身(数字)だけではなく,計算式もコピーできます.
Excelでは基本的にセルの参照(関数による引数など)には相対的な位置で処理されます.つまり,「今のセルからどれだけ離れた位置にあるのか」という表現を内部で行っています.また例を用いて説明すると,合計を計算したセルA5の内容は「自分の上4つのセルの合計を計算せよ」という命令が入力されていることになります.したがって,これをB5にコピーしても,A1からA4の合計ではなく,B1からB4の合計が計算される訳です.
このような参照方法を相対参照と呼んでいます.
7.計算式のコピー・貼り付け(絶対参照)
1999年度の売上高予想を行ないます.成長率は1998年度より5%成長すると見込まれています.成長率はすでにセルK3に入力されているので,これを利用します.
例えば,セルK6には東京のA製品の予測値が入りますが,この計算式は,
=G6*(1+K3)
となるはずです.ではこれをK7,K8にコピーして,製品Bと製品Cについても予測値を出してみます.
正しい答えにならないはずです.製品Bは98年度と同じ数値,製品Cに至っては「#VALUE!」という表示になりました.これは成長率の数値の参照が誤っているためです.
絶対参照
前述の通り,Excelでは基本的にセルの参照(関数による引数など)には相対的な位置で処理されます.一方,例では,成長率を入力したセルK3の参照もコピーによって動いてしまいました.
コピーによって動いてもらっては困ります.したがって,セルK3だけは具体的にセル番号を命令の中に加える必要があります.これが絶対参照の考えです.
セルK3を絶対参照で表現すると,「$K$3」となります.したがって,セルK6に「=G6*(1+$K$3)」と書いておけば,コピーした時に正しい計算ができるはずです.
ちなみに,「k$3」と書くと,縦方向のみ絶対参照,「$k3」と書くと横方向のみ絶対参照になります.
表示 移動の内容 K3 上下左右自由 $K$3 上下左右移動不可 $K3 上下自由,左右不可 K$3 上下不可,左右自由 セル参照した後,「F4」キーを押すと絶対参照の切り替えを行うことができます.これ便利.
「F4」キーを押すたびに,絶対参照→行絶対・列相対→行相対・列絶対→相対参照→絶対参照→…
となります.
8.その他・計算について
学生相手に講義していると,彼らが意外とできない計算のいくつかを紹介する.
まぁ,受験勉強には出てこないからね(というのは言い訳だ).でも社会に出たらいくらでも遭遇するよ.せっかくだから覚えておこう.
- パーセント
計算ではないけど.100%は1,20%は0.2,5%は0.05だよね.単位を付けたとき,付けないときの表記,間違えないでね.
表計算ではかける100としないように.後で使う時面倒だから.%表記にしたい場合は,「パーセントスタイル」で表記方法を変更する.- 変化率,成長率,増減率,収益率など
【例題】先月120,今月150.さて先月から今月にかけての成長率(変化率)は?
変化分を元の数字で割る.すなわち,(今月−先月)÷先月=(150-120)÷120=0.25,つまり25%.
表計算では,かっこをつけた計算は入力が面倒なので,「今月÷先月−1」とした方がラクだ.
「今月÷先月」の計算のみだと,「前月比」になる.- シェア(市場占有率)
ビジネスの場面では必ず出てくる言葉だが,知らない学生も多い.言葉は知っていても,計算できない学生も多い.正しくはマーケットシェア.
定義としては,全体に占める特定のものの割合.パーセントで表現する.
【例題】市場全体の売上高が120億円で,A社の売上高が30億円なら,30億÷120億=0.25,つまり25%.- 金利の計算(複利計算)
経済・経営系じゃないからいいや,ではなく大人の知識として,ぜひ.
【例題】 解答 1万円を年金利3%(年1回払い)で1年間預けると 10,000円×(1+0.03)=10,300円 1万円を年金利3%(年1回払い)で3年間預けると 10,000円×(1+0.03)^3=10,927円
べき乗の計算になります.
年300円の金利が付くから,300×3で10,900円だよね,という考え方を単利という.日本の金融機関では普通年2回の利払いがあるよ.
それに合わせて考えると,
1万円を年金利3%(年2回払い)で3年間預けると10,000円×(1+0.015)^6=10,934円
1回あたりの利率は年金利の半分で,利払いの回数は2×3で6回ということ.消費者金融では年10数パーセントの金利を取る.
消費者金融から10万円を年金利12%で借り,3か月後にまとめて返済するときの元利金合計は100,000円×(1+0.12)^(3/12)=102,874円 【おまけ】
上記の例題と同じ金利で450万円の借金があると仮定する.1か月後の元利金合計は4,500,000×(1+0.12)^(1/12)=4,542,700
1か月の金利が4万強だということだ.
一方,新卒給与の平均(2012年,(社)日本経済団体連合会,大卒事務職)は207,585円だそうだ.手取りはもう少し減るから,元本まで含めた返済はキツイよね.
何が言いたいかというと,ご利用は計画的に,ってこと.
9.データの並べ替え
例えば,以下の様にExcelの表の上にデータが並んでいたとする.
A B C D E 1 Sex Country Height Weight Father's Height 2 F USA 170 60 182 3 M FRANCE 178 62 176 4 F JAPAN 155 45 173 5 M USA 180 75 181 6 M JAPAN 171 60 167 データは,性別,国籍,身長,体重,父親の身長の順にならんでいる.1つの行が1人のデータをあらわしている.
■手順
- ソートするデータを範囲選択(データ全体を指定すること.特定の列だけ指定したら,データが壊れてしまう)
- メニューの「並べ替えとフィルタ」を選択
- 「ユーザ設定の並べ替え」を選択
画像は古いバージョンだが,勝手はおおむね同じ.範囲の選択の際にデータ名まで含めると,ソートのキーにデータ名を用いることができる(これをしない場合は,「列A」,「列B」という表示になる).
※「昇順」と「降順」
- 昇順:値の最も小さいデータが先頭で,値が大きくなるもの
- 降順:値の最も大きいデータが先頭で,値が小さくなるもの
10.データの抽出(フィルタその1)
■手順
- フィルタをかけたいデータのデータ名を範囲選択
- メニューの「データ」を選択
- 「フィルタ」を選択
- 「オートフィルタ」を選択
フィルタは複数かけることが可能.例えば,フランスの男性のデータのみを抽出することができるわけだ.
11.条件による場合分け(フィルタその2)
フィルタは「オプション」の利用によりさらに複雑な抽出を可能としている. 例えば,上記の例に加えて「身長175cm以上」という条件を加えてみる.つまり,「身長175cm以上のフランスの男性」のデータのみを抽出する.
■手順
- フィルタによって,「フランス」,「男性」のデータを抽出しておく
- 「身長」のフィルタにおいて,「オプション」を選択
- でもって図中の左側のように,条件となる数値を入力
- 図中の左側のように,数値に対する処理を選択
- 実行する
例では数値だが,文字列も使える.また,「?」,「*」など正規表現ぽい抽出も可能.
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